文科省が「個別最適な学び」を目指している事を知って
こんにちは。デクです。
デクってこんな人です。
文科省のHPを見ていると、
気になる見出しをみつけました。
これです↓
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~
見出しを目にした私は、
「学校でも、
個別最適な学びの提供を
目指していくのか!」
と、興味がわきました。
というのも、
私の経験から、
個別に丁寧に指導した方が、
学力は確実に伸びる
実感があったからです。
ということで、
文科省の意見(答申)を
ひと通り読んでみました。
読んで考えたことは、
個別最適な学びの実現には、
最適を見つける選択肢が必要。
また、個別最適だけでなく、
同世代の人とのかかわりも
大切にしてほしい。
ということです。
私は学校現場で10年以上働いてきました。
今回の記事では、
文科省からの意見(答申)がどういうことなのか、
本当に実現するにはどうしたらいいのかを、
現場目線で書いてみます。
この記事を読むことで、
学校の現状と今後の方向性を知る
きっかけになると思います。
ちなみに、
今までで一番長い記事になりました。
興味のある部分だけでもいいので、
気軽に読んでみてください。
目次
文科省の意見(答申)について
ざっくり要約します
まず、文科省の出した意見をざっくりとまとめます。
文科省は、
2つの変化に対応する力を伸ばしたい、方針です。
それは、
1. AIや機器の発達による社会の変化
2.新型コロナウイルス感染症による予測不能の変化
です。
この2つの変化に対応できる力を
育てよう、ということです。
そのために、
全ての子どもたちに、
個別最適な学びと協働的な学びを
提供する流れです。
要は、
感染症対策のために、
いろんな機器を使いながら、
可能な範囲で、
周りの人たちと協力して学びを深めよう。
ということです。
これだけ見ると、正直、
今までとあまり変わっていないのかな、
という印象もあります。
実際、
「個別最適な学び」という表現も、
もともとあった、
「個に応じた指導」を
学習者目線で
「個別最適な学び」に変更したようでした。
それでも、私には少し気になることがありました。
3つの気になる事をひも解いてみます
私が気になった、3つの事を書きます。
①「令和の日本型学校教育」、「個別最適な学び」はなぜ出てきた?
まず1つ目に気になったのは、
「令和の日本型学校教育」と
「個別最適な学び」
という言葉でした。
なぜ気になったかというと、
今まで出てこなかった、新しい言葉、
という印象が強かったからです。
よく考えてみると、どうやら、
ここ近年の流れに、
その理由がありそうです。
流れを時系列で書くと、
平成30年前後
新しい学習指導要領(※)を出す
(※)先生方の教えるきまりのようなもの
令和2年
新型コロナウイルス感染症がひろがる
→新しい学習指導要領の実施が困難になる
令和3年
学習指導要領のアップデート版をつくる必要がでた
→令和の日本型学校教育の構築を目指す
となります。
実は、約3年前に出された、
新しい学習指導要領では、
個別最適な学び(個に応じた指導)のことは、
ほとんど語られていなかったのです。
全面的に進めていたのは、
主体的、対話的な深い学び、
つまり協働的な学びでした。
かかわりを重視していたのです。
しかし、感染症による影響で、
生徒同士の対話が制限されました。
これにより、
「個別最適な学び」というワードが、
最前線に出るようになったと考えました。
②孤立、孤独につながらないように配慮が必要
2つ目として、
気になっているのは、
個別最適な学びを進めることで、
かえって、
子どもたちが孤立感、孤独感を
抱えてしまうのではないか?
ということです。
個別最適な学びの良さは、
一人一人の学びのペースで進められることです。
そうなれば、得意な子は、どんどん進み、
苦手な子はじっくり進みます。
つまり、個別最適な学びは、
一人一人の学習速度の格差をうみます。
これは格差は自然な事なのですが、
今までの一斉指導に
慣れている子どもたちは、
みんなと同じ学習を進めている感覚に
安心感を持つ場合もあります。
ですから、
個別最適な学びを重視するあまり、
一人一人が比較することに過敏になり、
優劣をつけあう可能性もあります。
そうなれば、
学習の苦手な子が、劣等感を抱き、
孤立、孤独を生むような構図になりかねません。
これは、
絶対に避けなければならないと思っています。
③教師の負担問題
3つ目は、教師の負担問題です。
個人最適の学びには、
個人の状況の把握は欠かせません。
それを一層進めるのであれば、
先生の負担が増すと思います。
何よりもまず、
授業時数が足りなくなります。
これは私の経験談ですが、
個人の学びを確保したいがゆえに
授業が思うように進まない、
といった経験を何度もしてきました。
「個別最適な学び」
言葉で掲げるのは容易ですが、
実行するのには、
多くの時間と根気が必要です。
文科省では、様々な機器による管理や
最適化の補足を推奨していますが、
これも簡単ではありません。
機械の操作が苦手な先生は、
かなり大変なことが予想されます。
先生が学ぶ時間の確保も必要かなと思いました。
個別最適な学びを実現するために必要なこと
自分が感じた気になる事をもとに、
個別最適な学びのために必要なことを
2つ考えてみました。
①授業時数を柔軟にすることと行事の見直し
先程にもかきましたが、
今の授業時数で、
個別最適な学びを保証するのは、
難しいと思います。
対策として、
根本的に授業時数を増やす必要があると思います。
または、
「フォローアップ」の時間を定期的につくって、
補充する時間を確実に作る、
ということもありだと思います。
もし時間を増やすのなら、
今までの行事を見直して、
削減することも必要になってくると思いました。
②地域のかかわり、多様な人とのかかわりをつくる
教師の負担を解消するためにも、
地域とのかかわりを、
活用するのも大切だと思います。
また、
子どもでも先生でも、
教わる、教えるの関係には、
合う合わないが出てくると思います。
つまり、
個別最適の学びには、
最適を選ぶ選択肢が必要です。
そして、選択肢を増やすためには、
かかわる人の多様さも重要なのです。
それが個別最適の土台になっていきます。
そのためにも、まずは様々な人と連携して、
学校教育を進める必要があるかなと思います。
まとめ
以上のように、
文科省の考えと現場目線の対応を考え、
まとめてみました。
私は、個別最適化はとても賛成です。
ただ、現場で実現するには、
難易度が相当高いとも思いました。
数年前は、
対話的な学びを大切にしようと、
していましたが、
今の現状を考えると、
個別最適の方向性は仕方ないと思います。
ですが、
同じ世代の子ども同士の交流による、
対話的な深い学びも、
もちろん必要です。
その機会を担っているのが、
学校なのかなとも思いました。
このことは、
最近の流れから起きた出来事なので、
これからの方向性も注目だなと思っています。
学校教育について、
他の記事でも書いていますので、
よかったらご覧ください。